フィリングは、お弁当の具材や惣菜、サンドイッチなど、さまざまな加工食品に幅広く使用されており、製造から流通、喫食までの時間を考慮した保存性や食感の安定化が重要な課題となります。
特に問題となるのが、時間の経過とともに発生する「離水」です。離水は、食品内部の主にでん粉やタンパク質からなる網目構造が収縮し、水分が押し出されることによって起こります。離水は、加熱・冷却や浸透圧差、ゲル構造の不安定化によって促進され、経時とともに離水も起きやすくなります。
離水が発生すると、フィリング自体の保形性が低下し、周囲のご飯やパンに水分が移行することで食感が劣化したり、外観や保存性にも悪影響を及ぼします。また、コストダウンの一環として、フィリングへの加水量を増やすケースも見られますが、加水を増やしたフィリングは離水リスクがより高くなるなど、品質維持が難しくなります。
離水対策として一般的に増粘剤やα化でん粉が用いられますが、種類や使用方法によっては添加時に均一に分散せず、「ダマ(ままこ)」や「べたつき」が発生し、製造時や喫食時に問題となる場合があります。具体的には、フィリングの外観や食感の低下、べたつきによる機械適性の悪化、製造ロスや歩留まり低下につながり、製造現場において、加熱や攪拌条件などの調整や工夫が必要となります。
本記事では、こうした課題を解決するために、フィリング製造において離水を効果的に抑制しつつ、自然な食感と高い作業性の両立に貢献できる情報をお届けします。
食品開発者のよくある悩み
- 保水材が均一に分散せず、製造時にダマが発生
- 加熱工程後や非加熱フィリング製造時に、保水材を直接添加したい
- 増粘剤や一般的なα化でん粉由来の糊っぽさ、ねちゃつき
- 経時的な離水による食感・見た目の劣化
- コストダウン目的で加水した際のフィリングの食感や保存性、保形性との両立
一般的な保水材で生じる製造課題
増粘剤や一般的なα化でん粉は、フィリングの離水対策として広く用いられますが、高い保水性を持つ一方で、分散性やべたつきの課題があります。直接添加すると、使用時にダマが生じやすいため、粉体混合や液糖混合をするなどの前処理が必要となります。べたつきは機械適性の悪化につながり、フィリング製造時の製造ロス・歩留まり低下の原因ともなります。
また、非加熱だと効果の発揮が不十分な保水材もあり、それらは加熱工程後に物性調整目的で添加する場合には不向きとなります。よって、加熱工程の有無や保水材の投入タイミングを慎重に検討する必要があります。
品質課題とコストとの両立
保水材の課題は、製造時だけでなく、喫食時の品質にも影響します。保水材由来の糊っぽい食感やねちゃつきが生じることで、食味が損なわれ、おいしさから遠ざかってしまうことがあります。加えてダマがフィリング内に塊として残ってしまうと、見た目にも異物感が生じます。
コストダウンのためフィリングの加水量を増やす場合には、保存中や流通時の離水リスクがさらに高まり、水っぽい食感や風味の低下につながります。加水量を増やすとフィリングの保形性も損なわれやすく、外観や食感への悪影響に加え、歩留まり低下の一因ともなります。
加水によるコストダウンと品質維持を両立するためには、適切な保水材の選定と使用方法の工夫が不可欠なのです。
J-オイルミルズからのご提案
こうした課題を解決する保水材として、J-オイルミルズの「クレムス® HU-1」を是非お試しください。
クレムス® HU-1は、冷水下でも高い保水性を発揮しながら、優れた分散性を兼ね備えており、作業性を損なうことなく自然な食感を維持できるのが特長です。
分散性に優れるため弱い攪拌条件下でもダマが発生せず、フィリング中の具材を潰すことなく離水を抑制でき、製品の品質維持に大きく貢献します。加熱調理済みのフィリングへ直接添加することも可能となるなど、製造工程中の加熱や攪拌条件に合わせて柔軟にご使用いただけます。
加えてクレムス®HU-1は吸水してもべたつかないことから、製造時の作業性が改善され、喫食時の外観や食感にも悪影響を及ぼしません。離水抑制能も高く、コストダウンなどで加水量を増やした場合でも経時での離水を抑え、保存性や保形性を向上するため、離水から生じるさまざまな品質課題をカバーします。
使用方法としては、非加熱フィリングの製造時や保管中の離水抑制など、さまざまな場面でご活用いただけます。
資料とレシピのダウンロード
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