レンジアップしたパンのひきを抑え、柔らかく仕上げたい
近年、単身世帯や共働き世帯の増加に伴い時短調理の需要が増加しています。代表的な時短調理にレンジアップが挙げられます。冷凍食品の市場拡大の中、レンジアップはもはや生活に欠かせない調理方法となっており、食品開発においてもレンジアップ耐性が重要視されるようになっています。
パンに関しても、従来は常温流通が主流でしたが、冷凍パンの流通チャネルが広がっています。さらに最終消費者のニーズとして、リテールベーカリーのような高品質がホールセール品にも求められるようになり、焼き立ての風味や食感を家庭で手軽に楽しめる商品が注目されています。
このような背景から、レンジアップで簡単に焼き立ての美味しさを再現できるパンが人気を集めております。しかし、特にリーンな配合のパンはレンジアップで「ひき(ガミーな食感)」を生じやすく、食感が硬く歯切れが悪くなってしまう課題があります。そこで今回は、レンジアップしたパンのひきを抑え、出来立ての柔らかさを維持できる方法をご紹介いたします。詳細が気になる方はぜひ最後までご覧ください。
食品開発者のよくあるお悩み
- パンの「ひき」を改善したい
- 焼き立てのパンの食感を持続させたい
- レンジアップした際のパンの硬さ、乾燥に悩んでいる
- パンの加水量を増やしたいが、べたついて作業性が悪くなる
- ハンドリングを大きく変えずに美味しさを向上させたい
解決のカギは「加水量調整」と「歯切れ向上」
なぜレンジアップでパンにひきが生じるのか?
電子レンジは、マイクロ波を使って食品中の水分子を振動させ、その摩擦熱で食品を温めます。加熱される過程で水分が蒸発するため、食品が乾燥し、硬くなる傾向があります。
パンにおいてもレンジアップすることで水分が飛びやすいため、喫食時にひきが生じてしまいます。これは特にリーンな配合であるほど、この傾向が顕著に現れます。
ひきを改善するためのポイント
パンのひきを改善するためには、下記の2つのポイントが挙げられます。
1.加水量を調整する
パンの生地を多加水にすることにより、レンジアップ後も水分がある程度保持され、ひきが生じにくくなります。
2.歯切れを向上させる
リーンなパンはグルテン同士の結合(グルテンネットワーク)が強固になりやすく、これが焼成後の生地の歯切れ悪化や、硬く嚙み切りにくい食感に繋がります。
グルテンネットワークの形成をうまく阻害させる工夫をすると、焼成後の生地の歯切れを向上させることができます。
上記ポイントを考慮することでひきを改善でき、レンジアップ後も柔らかく出来立て感のあるパンに仕上げることができます。
高保水可能な素材は様々ありますが、製造工程でべたつきが生じてしまったり、歯切れに悪影響を与えてしまう場合があります。そのため、製造適性や食感への影響も考慮して素材を選定することが重要です。
J-オイルミルズからのご提案
J-オイルミルズが提供する、業務用の機能性素材「ネオトラスト®シリーズ」をぜひお試しください。
ネオトラスト®シリーズは高保水可能なでん粉素材です。パンに配合すると、生地を多加水にすることができるため、レンジアップ後も水分保持が可能です。さらに、吸水した際にでん粉由来のべたつきが出ない特徴があります。これにより、ハンドリングを大きく変えることなくパンの食感を改善させることができます。
加えてネオトラスト®シリーズは、グルテンネットワークの形成を適度に阻害する機能もあるため、小麦粉だけでは実現できない口どけ感や歯切れ向上の効果があります。レンジアップ時のひきの改善、美味しさ向上にぜひおすすめの素材となっております。
資料のダウンロード
「ネオトラスト®シリーズ」の詳しいメカニズムや、パンの食感改善アプリケーション事例を説明しております。
さらに、今回はネオトラスト®の新しい番手であるネオトラスト®EX-600についても資料内でご紹介しております。他ネオトラスト®製品との違いが気になる方は是非ご覧ください。