焼豚のジューシー感、繊維感を向上したい

そのまま食べても美味しく、チャーハンやラーメンの具材、お弁当に丼ものなど、様々な料理に活躍する焼豚。肉の旨みが詰まった香ばしい風味と、柔らかくジューシーな食感が魅力的です。

しかし、加工食品として焼豚を製造する際、加熱工程や冷蔵冷凍工程においてドリップが発生し、食感が硬くパサついてしまう食味が低下してといった課題があります。また、ドリップ抑制に加え肉本来の繊維感が維持されていることも焼豚の美味しさの重要な要素になります。加工食品開発や製造に携わる皆様には、肉の特性や製造工程を踏まえた上で、最適な素材やを選していくことが求められているのではないでしょうか

本記事は焼豚のジューシー感向上をテーマとして、パサつきやドリップが生じるメカニズムを解説し、肉汁をキープしてジューシーに仕上げる製法と素材をご紹介します。

食品開発者のよくある悩み

  • 加熱後の肉の硬さ、パサつきが気になる
  • 解凍時のドリップで、見た目や食感、食味が損なわれる
  • 保水材を使用しているが、自然な肉の食感が保てない
  • 保存中の離水、肉質の変化をどうにか防ぎたい
  • 肉汁が流出して歩留まりが悪い

保水対策として「ミキシング製法」の選択

焼豚の製造において、ジューシー感や柔らかさ、肉のうまみ、肉らしい食感を実現することは、美味しさを決める大事な要素です。一方、肉のタンパク質は加熱調理時に変性して硬化し、肉汁を保持しにくくなります。これがドリップを生む原因となり、硬くパサついた食感や食味低下につながります。

このような問題に対し、肉内部に保水材を注入添加して肉汁の流出を防ぐ対策がよく講じられます。しかし、保水材によっては肉の繊維感が失われて食感に違和感を与える可能性があります。焼豚の製造においては、適切な保水材の選択と使用方法を検討することが必要なのです。

ミキシング製法とは

食肉加工では、ピックル液(調味料や保水材などを水に懸濁した液)を肉内部に直接注入するインジェクションやタンブラーなどの機械を用いて肉をマッサージしながらピックル液を浸透させるタンブリングがよく行われます。

上述のタンブリング処理の後、さらに保水材を使用して「ミキシング」行うと、より高い保水処理を施すことが可能です。ミキシングは肉表面が湿っている程度の比較的水分の少ない状態で、保水材をそのまま添加してと混ぜ合わせ、馴染ませる処理です。保水材で肉表面をしっかりコーティングし、加熱時やその後の工程でのドリップ流出を抑えることができる製法です。

保水材を使用したミキシング製法は、肉と保水材を直接混ぜ合わせることで効率的にドリップの発生を抑えられます。その結果、歩留りや作業性、味や質感の均一性、製品の保存性を向上させることができ、商品価値を高めることに繋がります。

ミキシング製法におすすめの素材

タンブリング時にピックル液に配合する保⽔剤としてはリン酸塩やpH調整剤が代表的ですが、ミキシングで使用する保水材としてはでん粉素材が有効です。でん粉は肉の繊維を壊さずに保水するため、肉本来の自然な繊維感を残したままジューシーな食感を付与できます。加えて、水分だけでなく油分も保てるでん粉製品を選べば、肉の旨みも逃がさず、美味しい焼豚に仕上がります。

でん粉は最終製品のpHへの影響も少ないため、日持ち向上剤等の効果に影響がないことも活用が進んでいる理由の一つです。

J-オイルミルズからのご提案

J-オイルミルズが提供する、畜肉加工用品質改良剤製剤の「ハイトラスト®H-71」をぜひお試しください。

ハイトラスト®シリーズは、数ある保水材の中でも「でん粉」が肉本来の食感を維持したまま保水できることに着目し、畜肉製品向けに開発されたピックル液⽤の製剤ですが、ミキシング製法にも使用可能です。中でもハイトラスト®H-71は、水分だけでなく油分とも親和性が高い特徴を持つため、タンブリング後の肉の表面にしっかりと結着して強いバリアを形成し、その結果ドリップを抑えてジューシーな食感や旨みを保持する効果があります。

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ハイトラスト®シリーズの保水機能メカニズムやミキシング製法に使用した際の効果、焼豚へのアプリケーションについて詳しく解説しております。詳細が気になる方は是非ご覧ください。